ツイッタランドで『妻の飯がマズくて離婚したい』という漫画エッセイ?みたいなのが話題になってる。
そのタイトルだけで「ろくに家事もしないで飯を作ってもらっているモラ夫が何を言うか!」と思ってしまうのは、モラ夫免疫を獲得してしまった我々の悲しいサガだね(苦笑)
読み進めると、妻が単に料理が下手なだけではないことがわかってくる。
(ネタバレになるので、気になる人は先に本家を読みに行ってね。)
新連載【妻の飯がマズくて離婚したい】私は料理が苦手です<第1話> #4コマ母道場
食に対する価値観の違い
要は、食に対する価値観の違いという話。
「食事なんてお腹に入ればみんな同じ」という妻と、「美味しい食事を楽しみたい」という夫で、一緒に食事をするという日常生活が不幸な体験になっている。その起因となっているのが、妻の料理下手。
マズく作るだけではなく、妻には味を楽しむとかそういう感覚がなく、美味しいとか美味しくないとか以前に、その野菜や食材が甘いとか酸っぱいとかコクがあるとか風味がどうとか歯触り舌触りがどうとか、味覚の解像度がとても低いっぽい。
夫が作ったり外食を提案するとコストをかけすぎと言い、節約を言い訳に美味しく作ろうともしない妻。
貧しい味の食事を食ってろと強いられるのは、よくある経済モラとどう違うだろうか?
贅沢でなくてもおいしい食事が世の中には存在しているというのに、わざわざマズく調理された食事を毎日腹に入れなければいけないというのは結構な拷問だと思う。
少なくとも、夫の「美味しいものを食べたい」という欲求は、人としてもっともなものだよね。ちゃんと働いてもいるし、食べ物に散財しているわけでもないし、妻の言う「食事なんてお腹に入ればみんな同じ」という価値観が世界の理ではないし、夫だけ良い食事を独り占めしたいわけでもない。
離婚の理由になるのか?
だが、果たして貧しい味覚を持っていたら離婚されるようなことなのだろうか?
漫画の夫氏は、思わず「離婚」というワードがぽろっと出るほどお悩みだっただけ・・・売り言葉的にね・・・と思うが、実際、離婚の理由になるのだろうか?
「妻が僕を置いて1人でラーメン食べに行ったから離婚した」なんていう離婚エピソードも聞いたことがある。食の恨みは恐ろしい~と面白おかしく語られていたが、一緒に生活していく意味を見出せなくなってそうなるんだろうなと思う。
協議離婚、つまり夫婦二人の話し合いによって離婚する場合、離婚の理由なんてなんだっていいのだよ。嫌いになったからでも、一緒にいる意味がないと思えば、離婚はできる。なんなら理由がなくても、離婚に合意さえあればできる。
問題は、そんなことで離婚できるかと意見が食い違い、相手に離婚に応じてもらえない場合だ。家庭裁判所で調停することになる。
そーすると、以下のどれかの場合でないと離婚はむずかしい。
- 浮気・不倫(不貞行為)
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
婚姻を継続し難い重大な事由?
離婚したい!となると、これに当たるのかどうかと疑問に思うよね。
結論から言うと、「料理が下手」「料理がマズい」は婚姻を継続し難い重大な事由には当たらない。
詳しくは、以前、大貫先生に説明していただいたのを参照してほしい。
話しにならないDV夫と離婚「裁判離婚」とは
かいつまんで言うと、性格の不一致などフワっとした理由ではなく、暴力や虐待の事実、ギャンブル・アルコールなどの依存症、別居の有無、別居期間の長さで判断されるのだそう。
「飯がマズい」「料理が苦手なのを理解してもらえない」は、協議離婚の理由にはなれど、裁判離婚の事由にはならないというわけ。
離婚という前に話し合おう?
漫画の夫婦は、売り言葉に買い言葉で「離婚ダー!」と言い出してしまったことから、夫婦の本音をぶつけ合うことができて結果オーライというよくある話だろう。
「離婚」を前提にしか、思っていることを話せないことで無用な「離婚の危機」が訪れる。
思うんだけど・・・話し合い、しなさすぎじゃない???
相手が嫌だろうから話さない。
相手に悪いから話さない。
夫も話さないまま好き勝手(外食行って嘘つく)
妻も話さないまま好き勝手(料理下手を正当化)
相手の話をまず、聞く、一旦受け止めるということに慣れていないのかも知れないね。だから、相手が何か言えば自己を守るために相手の言葉を思わず跳ね返す。
ちゃんと受け取ってもらえない気持ちをちゃんと受け取って欲しくて「離婚」という最後通告を脅し文句にだしてしまうんだろうね。
(あたしも、アスペ元夫が余りに話を聞かないので何度も離婚を言い出して、実家からも離婚するする詐欺だと言われた…)
早めに第三者を交えよう
とかくみんな話し合うことや相談するのが下手に思う。
それはきっと、反対意見を聞きたくないからだろう。
解ってもらえないことは、哀しくて孤独を感じるから、ついそれが怖くて避けたくなるんだろうね。
でも、黙っていたって解ってもらえるわけがない。
そうやってすれ違いは起きていく。
黙って解ってもらえるのなら楽だけれども。
だから早めに誰かに相談することをあたしはお勧めするよ。
夫婦で話し合えってよく聞くけど、夫婦で解決すべきって誰が決めたんだろう?
小さい時から、意見を尊重してもらうという経験が少ないからだろうか?教育として、議論をすることに慣れてないからだろうか?
「あなたはどう思う?どうしたい?」と言われるよりも、漫画の妻のように母親から「嫌なら食べなくていい」「お腹に入れば何でも同じ」と押し切られて育てられることが多いんじゃないだろうか?
学校教育でも、正解や正しいという答えを求めることや論破に忙しくて、意見の多様性を受け止める余裕や異なる価値観での落としどころを見つける経験が少なすぎるんじゃないだろうか?
離婚という大きな決断に迫られないと、話し合いができないというのは、とても不幸なことだなとあたし自身の離婚で思った。
相談できる先がないのも問題だよね。
(あたしの場合、当時周りに誰もアスペルガー症候群を理解してくれる人はおらず、弁護士さんに夫の無責任ぶりを相談しても何の取っ掛かりにもならず、心療内科のドアを叩いた。)
話し合いができる相手だろうと、話し合いにならない相手だろうと、利害関係のない第三者が居れば、独り善がりの価値観かどうかに気付けるし、どこがすれ違っているかに気付けるし、問題の本質を見つける手助けになるだろうと思う。
海外ドラマなんかでは、教会や夫婦カウンセリング・セラピーなんかがよく登場するけれど、日本でももっと気軽に中立の立場から話を聞いてくれるサービスにお金を支払う価値観ができるといいねと思う。
・・・ちょっと誰かうさんくさくない夫婦カウンセラーご紹介してくれないかな?(笑)
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