私自身が子どもの頃に経験した虐待のお話です。
40年近く経つ今でも鮮明に思い出せるほど強烈なできごとでした。
私の面前DVとの戦いはまだ続いています
面前DVとは
面前DVとは
子どもの目の前で配偶者や家族に対して暴力を振るうこと。
2004年の児童虐待防止法改正で心理的虐待のひとつと認定されました。
面前DVの始まり
私の面前DVの記憶は幼稚園の頃から始まった。
父親が母親を責めている。しかし何を言っていたかまでは記憶にない。
残っている記憶は母を殴る父、そしてしゃくりあげて泣く母、これだけだ。
父が母を殴る間、私は布団を被り嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
面前DVは数年にわたり繰り返された。
私にできること
小学生になると私は放課後空き地に向かい、たくさんのクローバーの中から四つ葉のクローバーを探した。
「お父さんがお母さんを殴りませんように。」
幼かった私は四つ葉のクローバーにそう願うことしかできなかった。
しかし四つ葉のクローバーは私の願いを叶えてくれることはなかった。
夜になると始まる父から母への暴力。
私が母を守る・面前DVの終わり
ある日、耐えられなくなった私は泣きながら殴られる母に覆いかぶさった。
自分も殴られるかもしれないという恐怖。
しかし私は母を守らずにはいられなかった。
「おまえはお母さんの味方か!お母さんと一緒に出ていけ!」
父の怒鳴り声に震えるしかなかった。
私の面前DVの記憶はここで終わっている。
終わらなかった面前DV
面前DVの記憶が終わってから10年以上が経った。家庭内での居心地の悪さは変わらないが、面前DVがなく私は就職したので経済的に自立し穏やかな日々を過ごしていた。
しかし終わったはずの面前DVが牙を剥いた。
抜毛症だ。髪を抜くことがやめられず、10円ハゲを作る。それに追い打ちをかけるよう、摂食障害が始まった。40年近く経った今でも鮮明に思い出せるあの記憶は、当時若かった自分を苦しめた。
あれから20年以上経つ今も摂食障害とは決別できずに戦いを続けている。
自分は殴られることのない面前DV、しかし自分が思う以上に面前DVは私を傷つけていた。
面前DVに思うこと
もし身近に面前DVを受けている人がいたら、過去に受けていた人がいたら「理解する」という形で救いの手を差し伸べてほしい。
面前DVは消せない事実。しかし周りの理解や思いやりがあればその傷は少しでも癒えると私は信じたい。
有葉えに
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