離婚の際、養育費を毎月いくらと決めたにもかかわらず、一度も支払われない・最初の数回支払われたけどバックレられた!という話はよく聞く話。
いや、よく聞いちゃいけない話しなのだけど。
それくらい当たり前くらいの勢いで養育費の不払いは横行している。
諦めずに連絡を取ろう
だけど、よくあることだから諦めるしかないと無視をきめこまないで欲しい。
養育費は子どもの権利。逃げ「得」などという卑しい子どもへの経済的な虐待をみすみす許してはいけない。生活が苦しくなっても自分が頑張るしかないというのは立派だけれど、そのシワ寄せでどうしたって傷つき、言えない悲しみを負うのは子どもなのだから。
子どものためを思って、メール・電話・SNS・友人関連・勤め先へ連絡を取ることを試みてほしい。
当事者間での口頭の取決めは、原則として、法的効力はありません。弁護士を入れないで作成した、当事者間の書面は、法的効力が認められないことが多いので、注意しましょう。なお、当事者間の合意があっても、算定表に比べて不利であれば、家裁の調停で増額できることがあります。 これから書面を作る場合は、調停調書や公正証書などの正式な書面を作成するのが良いでしょう。
内容証明郵便で請求してみる
連絡を取ろうとしても意図的に無視されている場合や、意図的かどうかわからないけれど連絡が取れない場合、内容証明郵便で請求してみるのも、きちんとこちら側が支払われていない養育費を支払ってくれとアクションを起こしている証明になるためおすすめ。
相手がバックレる気満々なら、この時点で弁護士さんにお願いして送ってもらうのも、未払いの場合は法的措置を取る本気度を示すには十分だろう。
でも、最初からいきなりコレは宣戦布告的にとらえられるので、未払いでムカムカしていてもまずは連絡を取ろうと試みるところからやろうね。
その履歴も残しておくといいと思う(`・ω・´)b
調停や公証役場で決めた場合を除いて、法律上、養育費を請求できる始期は、原則として、調停申立て時とするのが通説です。内容証明等での請求時を始期と判断した審判例もありますが、これは、現在も少数説です。 内容証明郵便での請求では、交渉の期限を切り、期限までによい回答のない場合、粛々と調停を申し立てるのが良いと思います。
裁判所で決められた養育費なら
調停や審判で養育費の額が裁判所によって定められている場合、養育費についての「調停証書」か「審判書」があるなら履行勧告をしてもらうことができる。
履行勧告とは、簡単に言えば、家裁から「未払いだぞー支払ってねー」と言ってもらえるということね。強制力はないけど、やる意味はある。
それでも支払われないなら、履行命令を出してもらおう。
この履行命令にも強制的に支払わせる拘束力はないけれど、こっちには相手が応じなかった場合に10万円の過料が設けられている。(ただし、その10万は請求しているこちら側に代わりに支払われるというものではないのでメリットになるというわけではない)
相手が金銭的に困窮している場合は、追い詰めてしまう事にもなるため使いどころは注意・・・といっても連絡とれないで逃げてる相手の状況なんてわかるはずもないのだが。
給与を差し押さえてもらおう
履行命令も無視して、まるっきり相手に誠意がない場合には最終手段の強制執行。
強制執行と言うだけあって、最終手段を使えば養育費は取り立てられるのだろうと思ったら大間違いだ。
取り立てることができていたら、母子家庭の4世帯に1世帯しか養育費をもらっていないなんて状況にはならない。 (厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」参照) これまでどれだけの母子家庭が泣き寝入りさせられてきただろうか。
差し押さえのための給与や財産は請求側が「ここにある!」とみつけてこなければ差し押さえられないのだ。
銀行口座を移され、隠されてしまうと回収は難しく、企業や銀行もおいそれとは個人情報を教えてくれない。転職されて勤務先を隠され、裁判所の命令を無視している不誠実な男から養育費を取り立てるのは難しいのが現状だった。
弁護士費用や探偵費用などが嵩むため、もはやストーカーほどの執念がなければ回収は無理な実情だった。
だったのだ。
やっと2019年5月に法改正案が成立した。
どう変わったのか?公正証書( 執行認諾文言付き )で財産開示手続きが利用可能になったのだ。
簡単に言えば、公正証書がやっと効力を持ち、逃げ得させないよう銀行や市町村役場に協力してもらうことができるようになる。
法改正の執行は2020和2年4月。
諦めないで請求する行動を起こそう。
公正証書や調停調書があれば、弁護士会照会が効力を発揮し易く、年金事務所等への照会で現在の勤務先がわかる可能性があります。給与は一度差し押さえれば、退職もしくは養育費が終わるまで有効なので、相手が会社勤めの場合、給与を差し押さえ差し上げましょう。元夫が恨む、怒るなどの心配は、基本的に不要、遠慮してはいけません。当然、正当な権利行使なので、お子さんのためにも、頑張って下さい!
養育費請求には時効がある
実は養育費には時効がある。
離婚時に養育費の取り決めをしていたかどうかで時効まで何年かが決まる。
取り決めをしていて、養育費の支払いが発生している場合、基本的には5年。
一般的に毎月〇万円を受け取る・・・としていて、滞った場合、5年で時効消滅する。(民放169条)
たとえば、20歳を迎えた子の養育費をさかのぼって請求するなら、5年分ということだ。25歳になったら0円というわけ。
モラ夫やDV夫と命がけで別れて苦汁をなめた人も諦めないで欲しい。家庭裁判所の審判や調停により養育費を取り決めていた場合には、過去の養育費は10年さかのぼって請求ができる。
「時効の中断」(民法147条)という時効の進行を止められる方法もあるので、子どもが30歳になっていないなら弁護士さんと相談してみる価値はある。
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